データと個々の事例

昨日は、OSの更新に時間がかかってしまい、書こうと思っていた事を書けませんでした。
何を書こうと思っていたのか?というと、土曜日に放送されたNHKスペシャルについて思った事でした。

土曜日は、広島に原爆が投下された8月6日という事もあり、NHKスペシャルは「原爆死 ヒロシマ 72年目の真実」というタイトルでした。
なんでも、8万人に及ぶ原爆被爆者動態調査を元にして、火災、気象、原爆の絵、取材情報などのビックデータを当時の航空写真に重ねて分析したそうです。

これにより、投下当日に亡くなった方53,644人の多くが圧焼死・・・つまり、爆心地付近で建物の瓦礫等に埋もれて逃げられない状態で火事により焼死した事が判ったそうです。
また、翌日以降は爆心地から少し離れた死のドーナツ地帯で、血液が煮えた事による熱傷(ヤケド)が原因の感染症が多いそうです。
そして、従来、放射線の影響がないと言われていた2.5km以上離れたところで発生した謎の死は・・・放射能を帯びた粉塵を吸い込んだり、放射能を帯びた雨による内部被爆と考えられるそうです。

番組は、ビックデータによる分析という形をとっていたのですが・・・遺族などの証言により典型的な事例を紹介していたのが、判りやすかったです。
また、原爆投下前後の人々の移動を航空写真上の点の動きで表示したのも、人々がどのような行動をとったのかイメージできて良かったです。

普段、ニュース等では、シリアで戦闘があり何千人死亡とか、避難民が何十万人といったように、データ化された数字で示される事が多いのですが・・・数字の大きさで大変な事態だとは分かるけど、今ひとつ実感にかけていました。
また、現地で活動しているNPOの報告等を読むと、個々の事例が紹介されていて、思わず同情してしまうのですが・・・逆に全体像が見えないという欠点があるように思っていました。

今回の番組では、単なる数字でもなく、個別の事例だけでもなく・・・全体像もミクロの視点も、上手いバランスで表現していて良かったです。
ひょっとすると、ビックデータを分析するという事は、全体像だけに限らず、今まで判らなかった細かい部分を明確にするのにも良いのかもしれませんね。