ペンは剣より強し

ジェフリー・アーチャーの「機は熟せり」を、やっと読み終えました。
正月休みに読もうと思っていたのが・・・読みかけたままで・・・その後、母の入院や大学通信教育のスクーリングなんかもあって、なかなか読む事ができませんでした。

ご存知の方も多いと思いますが、「機は熟せり」は、ジェフリー・アーチャーの人気シリーズ「クリフトン年代記」の第6弾です。
読み始めると、つい引き込まれてしまうので、少しずつ読むという事が難しく・・・ある程度、時間的に余裕がないと読むのが難しいのです。

今回のクライマックスともいえるのが・・・スターリンの実像を暴露した本の著者がノーベル文学賞を受賞することになり・・・主人公が彼の代理で授賞式のスピーチをした場面です。
その中で、主人公が、万年筆を高くかざして「ペンは剣より強し」と繰り返すと、聴衆が全員立ち上がって、ペンをかざし、それに呼応したのです。

その後、ソ連で行われた、著者の葬儀に主人公は立ち会うのですが・・・教会の周りには、群衆がとりまいていて、沈黙の抵抗で、ペンをかざすのです。
ここを読んだときは、ちょっぴり感動しました。

トランプ大統領のメディア批判なんかもありますが・・・メディアは、良心に従って、報道をしてもらいたいものです。
ソ連の流れをひくロシアとか中国なんかは、未だ体制寄りの報道が目立ちますね。
確か、ノーベル平和賞劉暁波は未だ投獄されているのですよね。

そういえば、中国の春秋左氏伝に有名な話がありますね。
崔杼という者が王の荘公を殺して権力を握った時に、歴史の記録官が「崔杼が王を殺した」と書いたのです。
怒った崔杼が、その者を殺すと、後をついだ記録官の弟がまた「崔杼が王を殺した」と書いたのです。
さらに起こった崔杼が弟を殺すと・・・その後をついだ末の弟がまた「崔杼が王を殺した」と書きました。
さすがの崔杼も、ついに諦めて、そのままにしたのです。

さらに、記録官の兄弟が殺された事を聞いた、他の地方の記録官も「崔杼が王を殺した」と書いた竹簡を持って駆け付けたのですが・・・末の弟により書かれた記録が残った事を聞いて、帰っていったそうです。

今の中国には、この記録官のような心構えのジャーナリストはいるのでしょうか?

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「機は熟せり(上)」 ジェフリー・アーチャー著 戸田裕之訳 新潮文庫

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「機は熟せり(下)」 ジェフリー・アーチャー著 戸田裕之訳 新潮文庫