今、ふたたびの京都

土曜日に放映されたテレ東の美の巨人たちは『東山魁夷冬の花」「北山初雪」』というタイトルでした。
二つの作品とも、東山魁夷が友人の川端康成へプレゼントした絵だそうです。

先日、ボブ・ディランが今年のノーベル文学賞を受賞した事について書きましたが・・・、「北山初雪」は、川端康成ノーベル文学賞を受賞したお祝いに東山魁夷が贈った作品です。

一方の「冬の花」は、その6年前に文化勲章受章のお祝に贈った作品で・・・川端の著書「古都」を題材にしていて、その最終章の見出しをタイトルにしています。

この二つの作品は、同じ場所の冬景色を描いているのですが・・・「冬の花」は、病床の川端を励ますように、春の訪れが近い事を感じさせる明るい緑で北山杉が描かれています。
川端康成は、この作品を気に入って、病室に飾って、毎日眺めていたそうです。

一方の「北山初雪」は、タイトルの通りモノトーン気味の雪景色で、北欧旅行で見た景色を反映しているようです。
これは、ノーベル賞の授賞式が行われるスウェーデンにイメージを重ねているのかもしれません。
ちなみに、このような北山での雪景色は、年に1度か2度あるかないか、だそうです。

番組によると、この二つの作品の北山杉には、今では数少なくなった原種が描かれているそうで・・・「京都は今描いていただかないとなくなります。京都のあるうちに描いておいてください」という、川端の言葉に応えたものだそうです。

この二つの作品に限らず、東山魁夷が描いた一連の京都の景色と川端康成の文学をまとめた「今、ふたたびの京都 ~東山魁夷を訪ね、川端康成に触れる旅~」という本があります。

この本には、構図が異なりますけど、さらに2作品、「北山初雪」と同じ年に描かれた北山杉の絵が載っています。
これらも、合わせて観ると、なかなか興味深いと思います。
ちなみに、番組で紹介していた、「落柿舎」の絵も載っています。

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「今、ふたたびの京都 ~東山魁夷を訪ね、川端康成に触れる旅~」 平山三男編 求龍堂

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冬の花」のページ

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「北山初雪」のページ
本の裏表紙にも「北山初雪」は使われています。

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「青い峡」のページ
「北山初雪」のモノトーンと違い、青系のモノトーンで描かれています

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「雪の後」のページ
「北山初雪」とは対照的に樹に雪は被ってなく、地面が白くなっています

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「落柿舎」のページ
番組によると、今でも同じ光景が残っているそうです