憎しみを越えて

昨日は、「終戦の日」について書きました。
終戦の日」という言葉は、日本を主体として見たもので・・・国によっては、戦勝の日だったり、解放の日だったりします。
そして、黙祷をささげるのは、第二次世界大戦で、犠牲となった日本人に限らず、犠牲となった世界中の人・・・さらにいえば、第二次世界大戦以外の戦争でも犠牲となった人についても、哀悼の念を持つべきだと思っています。

終戦の日ということで、昨日のNHKスペシャルは「ふたりの贖罪 ~日本とアメリカ・憎しみを越えて~」というものでした。
このタイトルから、あまり期待してなかったのですけど、視たら、結構興味深かったです。

有名な「トラ・トラ・トラ(我奇襲ニ成功セリ)」を打電した真珠湾攻撃隊の総指揮官だった淵田美津雄海軍中佐と、その報復作戦に志願して太平洋上の空母から飛び立った爆撃機で、初めて日本本土(名古屋)を空襲したアメリカ陸軍航空隊のジェイコブ・ディシェイザー伍長の物語でした。

片道燃料しか搭載していなかった、ディシェイザーの機は中国大陸に不時着したのですが・・・そこは日本軍の占領地帯だったため、捕虜となったそうです。
そして、拷問など過酷な収容所生活で、日本人を激しく憎むようになっていたのですが・・・仲間が赤痢で死んだ時に、葬儀ができるように看守が差し入れた聖書を読んで、考えが変わったようです。
それは「父よ、彼らを許し給へ。その為す所を知らざればなり」という言葉で、感銘を受けて、試しに看守への態度を穏やかに変えるようにしたら、看守もサツマイモくれたりするようになったとか・・・
戦後、ディシェイザーは民主化のために日本へ派遣される宣教師となり、自分が爆撃をした名古屋に教会を建て、日本各地を、憎しみを絶つための伝道をして歩いたそうです。

一方の淵田は、東京裁判の証人となり、世間からは真珠湾の英雄ではなく国を破滅させた張本人とみられるようになります。
そんな時に、街角で配っていたディシェイザーのパンフレットを入手し、聖書を読んでみたところ、奇しくも同じ「父よ、彼らを許し給へ。その為す所を知らざればなり」という言葉に感銘を受け、ディシェイザーに合って、キリスト教徒になる事を決意します。
そして、淵田はアメリカに渡り、自分は真珠湾を爆撃した事を隠さず、戦争を無くすために、ハワイを含むアメリカ全土を伝道のしてまわったそうです。

この淵田の「私は祖国を愛するあまり 火のような敵愾心を抱いて戦ってきたが、偏狭にして独善的なものがなかったか、私は無知だった、それが悲劇を生んだのだ」「無知から生まれる憎しみの連鎖を断ち切らなければならぬ これこそノー・モア・パールハーバーへの道である」という言葉・・・別に、キリスト教徒ではないのですけど、素晴らしいと思いました。

トランプ氏の発言とか、韓国の議員団が竹島に上陸したとか、靖国神社に参拝する閣僚とか・・
どうも、昨今の政治家には、偏狭にして独善的な考えの人が多いような気がします。
国とか民族なんて事に固執せずに、広い視野を持たなければいけないと思うのです。