東海道五十三次

昨夜の日曜美術館は「風景の抒情詩人 歌川広重東海道五十三次」でした。
日本人の癖に、浮世絵は詳しくないのですが・・・流石に、このシリーズは有名で、目にする事も多いです。

このシリーズ、好きな構図の作品が多いので、以前から、ちょっと興味を持っていました。
ある日、ネット・オークションで、歌川広重東海道五十三次の複製セットが安く出品されているのを見つけて、よく考えずに落札してしまいました。

それが・・届いた物を見て、愕然としました。
全然、思っていたのと違う物だったのです。

そう、有名なのは、保永堂版と言われる作品で、番組で取り上げていたのも保永堂版だったのですが・・・私が落札したのは、隷書版と言われる作品だったのです。
(バカですね~)

浮世絵に詳しくないため、知らなかったのですが・・・歌川広重は、最初に描いた保永堂版が好評だったので、その後に、いくつもの東海道五十三次を描いたそうです。
なかでも、行書版といわれるものと、この隷書版が有名だとか・・・

はっきり言って、保永堂版に比べると、隷書版は構図が今一つな感じがします。
それに、番組で取り上げていたような、江戸時代の暮らしを描いた人間模様や風雨や雪等の自然の描写も今一つな感じです。

そんな訳で、後に保永堂版の複製セットもネット・オークションで見つけて入手しました。

比べてみると・・・保永堂版では、当時の雰囲気をよく伝えているのですが・・反面、風景や名所を詳しく描いていない事も多く、どこの宿場か判りづらい部分がありました。
これに対して、隷書版の方は、風景を中心に描いていて、どこだか判るようになっていますが・・・人々は小さく描かれるようになっています。

たぶん、保永堂版を描いたときは、初めて東海道を旅した時の記憶が鮮明だったので、その印象に重点をおいて描いたのでしょう。
芸術的な作品としては、保永堂版の方が優れているようですが・・旅行ガイドとしてみると隷書版の方が優れているような気がします。

たぶん、当時の人は、保永堂版を眺めて、旅に行きたいなぁ・・・と、憧れて・・・実際に旅行した時には、おぉ~っ、ここだ、ここだ、と隷書版を見たのではないか?・・・なんて、想像すると面白いですね。

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「広重画 東海道五十三次(保永堂版)」 日本芸術院長 高橋誠一郎監修 共同通信社

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「隷書版 東海道五十三次 広重画」 国際情報社