J.トレンツ・リャド

先日、カラヴァッジョ展を見に行った事について書きました。
ドラマチックで陰影を上手く使った作品も良かったのですが・・・横に描かれたガラス瓶や果物等の小物のリアルさが素晴らしかったです。

カラヴァッジョは、リアルな絵のくせに、ほとんど下書きもせずに、あっという間に描いてしまった、というので、まさに天才だったのでしょう。

ほとんど下書きもせずに、あっという間に描いてしまう、という事で思い出したのが、20年ぐらい前に好きだったJ.トレンツ・リャドという画家です。
当時は、かなり夢中になっていて、画集とかも沢山買ったのですが・・・いつのまにか冷めてしまいました。

たぶん憶えている方も多いと思うのですが・・・その頃は、商業ベースにのって、あちらこちらで高価な版画の展示即売会なども行われていました。
最近は、見かけませんけど、やはり、一時的な流行だったのでしょうか?
そういえば、日本に紹介されるようになって、すぐに亡くなってしまったのですね。
カラヴァッジョも夭折でしたが・・・J.トレンツ・リャドも47歳で逝ってしまったのです。

描くのが早いと言っても、カラヴァッジョのようにリアルな絵ではなく、風景画は最後の印象派と言われるように、大胆なタッチで描いています。
また、肖像画は、ベラスケスの再来と言われたように、顔などの主要な部分はリアルに描いていますが、服などはやはり大胆なタッチで描いています。

もちろん、大胆なタッチで描いていても、対象の特徴は良くとらえているのですが・・・そういった意味では、瞬時に対象の細かい部分まで認識して描いてしまう、カラヴァッジョの方が天才的だったのでしょう。
また、風景画は、エキゾチックで美しい題材を扱っていますが・・・最後の印象派と言っても、表現自体は、やはりモネには及ばない気がします。

J.トレンツ・リャドの絵には、額のような枠が描かれていたり、文字が書かれていたり、絵具のしぶきのような物が飛び散っていたりしますが・・・今になって見ると、神がかりになって発作的に描いた様に見せかけているような気もします。

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J.トレンツ・リャドの画集や展示会のチラシなど

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当時、高価だったので唯一購入した版画

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「Joaquin Torrents Llado」 株式会社プロバ
制作風景を見たくて購入したVHSビデオ