独裁者

この前の日曜日にNHKスペシャルで「新・映像の世紀 第3集 時代は独裁者を求めた」というのをやっていました。

そもそも、ヒトラー反ユダヤ主義のインスピレーションを与えたのは、自動車王ヘンリー・フォードだったそうです。
その後、ヒトラー支持者の音楽家ワーグナーアメリカでコンサートを開いたときに、ヘンリー・フォードナチスの支援を依頼したとか・・・その後、フォードはドイツ軍の軍用車両を作るようになるとか・・・

そのほかにも、ファッション界の女王のココ・シャネルは、香水の利益の大半を持って行ってしまうユダヤ人の共同経営者から経営権を取り戻すために、ナチスのために諜報活動を行ったとか・・・

空の英雄のチャールズ・リンドバーグは、ドイツの工業力の成長に注目して、ドイツと手を組んで世界を平和に導こうと考えて、アメリカ国民にドイツ支持を訴えたとか・・・

哲学者のマルティン・ハイデガーは、ナチスに入党し、大学の学生に向かってヒトラーへの賛辞を送ったとか・・・

そんな感じで、当時は、意外とナチスドイツを支持する人が多かったようで・・・多くの人は、議論だけで何も決められない民主主義に対して、ファシズムを求めていたそうです。

どうも、最近も似た感じで、世界では強い指導者を求めているような気がしています。
アメリカ大統領選のトランプ氏とか、ロシヤのプーチンとか中国の習近平なんかも、かなり強引な感じがしていて、独裁者の要素がある気がします。

さらに、番組によると、当時、ヨーロッパで戦争していても、ドイツが優勢なので、アメリカの企業はドイツのために取引を続けて利益をあげていたとか・・・
デュポン社は、兵器ビジネスに携わり、スタンダード石油はドイツ軍のために合成ガソリンを供給し、IBMのパンチカード・システムはユダヤ人の効率的な管理のために使われたそうです。

ここいらへんも、今でも利益優先の企業の体質は変わっていない気がします。

そして、当時の反ナチ運動家のマルティン・ニーメラーの言葉が印象に残りました。

ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき 私は声を上げなかった 私は共産主義者ではなかったから
ナチスユダヤ人を連行して行ったとき 私は声をあげなかった 私はユダヤ人ではなかったから
そしてナチスが私を攻撃したとき 私のために声を上げる者は誰一人残っていなかった

やっぱり、イスラム国は他人事ではなく、シリア難民とかを無視してはいけないと思います。

番組を視ていて思ったのは、ヒトラーは急ぎすぎたのではないか?という事でした。
これだけの支持を集めていて、第一次世界大戦後のドイツの復興を成し遂げた実績を考えると、もっとじっくりと野望を遂げようとしたら、世界の人々は目先の利益に惑わされて、これほどまとまった大きな反発を招くことは無かったように思います。
そうしたら、世界は一体、どうなっていたのでしょうか?

ヒットラーが自殺の前に秘書に言った言葉は
「ナチズムは壊滅した もう終わりだ その思想は私と共に消滅する だが100年後には新たなる思想が生まれるだろう 宗教の様に新たなるナチズムが誕生するだろう」
だそうです。

今年は、戦後70年、あと30年後はどうなっているのでしょうか?