真実和解委員会

昨日は、選挙でミャンマーの政権を取るであろう、NLDの党首アウンサンスーチーさんについて書きました。

ニュースによると、アウンサンスーチーさんが、現在のテイン・セイン大統領や軍部に向けて、国民和解を呼びかける書簡を送ったそうです。

昨日も書きましたが、アウンサンスーチーさんが長期間に渡って拘束された後、取り巻く状況の変化によって解放されて、さらに選挙によって政権をとるというのは、南アフリカネルソン・マンデラ元大統領を思い出させます。

そして、ネルソン・マンデラ元大統領が政権を取った後に行ったのが、真実和解委員会による国民のわだかまり解消です。
ネルソン・マンデラ元大統領といえば、アパルトヘイト後の南アフリカで初の黒人大統領という事でも有名ですが、その功績でいえば、真実和解委員会も重要な位置を占めます。

当時は、アパルトヘイト政策で黒人を虐待した多くの白人は、黒人が政権を取った事で、復讐を危惧していました。
また、逆に、白人相手にテロ活動をしていた黒人もいました。

そこで、このような政治的な要因で犯罪を犯した者に対して、真実を洗いざらい話せば、恩赦を得られるというシステムが真実和解委員会です。

人類の歴史上、同様な委員会(システム)は色々ありましたが、この南アフリカの真実和解委員会が一番成功した例と言われています。

もちろん、犯罪を犯した者を許すという事には批判がありますが・・・、政治環境による犯罪に対しては、個々の刑罰なんかよりも真実を明らかにして再発を防止する方に重点を置いていることから、建設的な取り組みと言えるでしょう。

ガンジーが非暴力不服従運動を始めたのが、弁護士として赴いた南アフリカであり、南アフリカで最初の黒人弁護士事務所を開いたのがネルソン・マンデラ元大統領です。
もっとも、ネルソン・マンデラ元大統領は、最初は過激な活動家だったのですが・・・後に、考えを改めて非暴力不服従主義者になったので、それが真実和解委員会を成功させることができたのでしょう。

そして、アウンサンスーチーさんも、ガンジーの影響を受けた非暴力不服従主義者なので、軍事政権の独裁や少数民族の虐待などに対して、真実和解員会のような取り組みを期待しています。

イメージ 1
「真実を和解 ネルソン・マンデラ最後の戦い」 山本浩著 日本放送出版協会

イメージ 2
ネルソン・マンデラ自伝 自由への長い道 上」 ネルソン・マンデラ著 東江一紀訳 NHK出版

イメージ 3
ネルソン・マンデラ自伝 自由への長い道 下」 ネルソン・マンデラ著 東江一紀訳 NHK出版