ラミレスとシダー材

昨日は、フラメンコ・ギターのコンデ・エルマーノスを紹介しました。
御存知だと思いますが、フラメンコ・ギターやクラシック・ギターでは、トップ材を松とか杉と表記する事が多いです。
この場合、松というのがスプルースで、杉というのはシダーになります。

始めてシダーをトップに使ったのは、ラミレス3世と言われています。
巨匠アンドレセゴビアは、ラミレス1世の弟であるマヌエル・ラミレスの製作したギターを愛用していましたが、マヌエルの死後はドイツのヘルマン・ハウザー製作のギターを使用していました。
ラミレス3世は、なんとかセゴビアに再度ラミレスのギターを弾かせたいと思っていました。
そして、試行錯誤したあげく、構造、弦長、塗装を見直して、ついにセゴビアに愛用されるギターを作りだしたのです。

そのときトップ材に採用したのが、ウェスタン・レッド・シダーです。
以前、カナディアン・インディアンの酋長が来日して、日本の商社が山の木を皆伐していると訴えた事を書きましたが、その木です。

ウェスタン・レッド・シダーの特徴は、音量があること、そして柔らかく甘い音色が特徴です。
もっとも、個人的には、ダイナミック・レンジは広いのですが、低音のしまりが今ひとつなように感じます。

現在、ラミレスの1aというギターは、アコギでいうとマーチンのD28のようなスタンダードな存在となりました。
そして、1960年から1971年に製作されたギターには、内部のネックの付け根部分に製作した弟子を表すスタンプが押してあります。
このため、後に独立して有名になった弟子が製作したギターは高価で取引されています。

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ホセ・ラミレス 1a C-LLスタンプ
トップはウェスタン・レッド・シダー材

イメージ 2
ホセ・ラミレス 1a のバックはハカランダ材