顔真卿展

東京国立博物館で開催されている「特別展 顔真卿 ー王義之を超えた名筆ー」を観てきました。
私は書なんて全然判らないのに・・・充実した内容で、とても良かったです。

そもそも、この展覧会に興味を持ったきっかけは、上野でおそらく中国人と思われる人が図録を3~4冊も抱えていたのを見かけた事でした。
図録なんて1冊あれば充分、何冊も買うなんて、一体どんな展覧会なのだろう?と、思ったのです。

調べてみたら、この展覧会の目玉「祭姪文稿」は台湾の故宮博物院に収蔵されていますが、通常は非公開のため、簡単に目にする事ができないそうです。
なんでも、王義之の「蘭亭序」に次ぐ名跡と言われていますが、「蘭亭序」は唐の太宗が陵墓に一緒に埋葬させてしまったので、現存する中では最高の書と言われています。
そのため、日本で実物を見れるとあって、中国本土からわざわざ見に来る人が多く、2時間待ちもザラだとか・・・
だから、図録を一杯買って、母国の土産にするのでしょう。

ちなみに、中国のネットでは、何で中国本土で公開しないで日本で公開するんだ!なんていう非難が噴出したそうですが・・・日本で観た人が、書の歴史なども分かり易く解説していて、素晴らしい展示だった。もし中国で公開したら、こんな風にはできないだろう、と反論しているそうです。

そんな訳で、興味を持ったため・・・春節の終わった今日、混む前に朝9時から小雪の中並んで、観てきました。
もっとも、会場に入って展示を順に見ていたら、中国人と思われる人達は、後ろを走ってどんどん「祭姪文稿」の所へ・・・結局、私が「祭姪文稿」のところに着いた頃には20分待ちになってしまいました。
係の人が立ち止まらずに進んでくださいと言っても、立ち止まってじっくり見る人が多いのも、待ち時間が長い要因みたいです。

で、その「祭姪文稿」ですが・・・写真とかで見ると、文字はよれよれで書き直しもあり、そんなに素晴らしいとは思えなかったのですが・・・実物を見ると、筆跡から顔真卿の気持ちが胸にぐっと伝わってきて、やはり素晴らしかったです。
もっとも、素晴らしいと言っても、これを見るために、わざわざ中国から来るのか?というと微妙ですけど・・・きっと、中国の人にとっては、私には判らない位の価値があるのでしょう。

ちなみに、この展示されている「祭姪文稿」ですが、前後に他の人が後から解説等を書いた紙が貼り合わせてあり、顔真卿の書は一部になります。
また、歴代の皇帝や学者など、所有者の印が、これでもか!という位、押されています。

そういえば、、太古の書は、石や青銅器に刻んだり・・・その後も紙は貴重だったため、仏経典とか政治文書などが書かれていたので、丁重な筆跡が多いのですが・・・顔真卿の頃から、私的な事柄を紙に書けるようになったので、感情が伝わるような筆跡になったみたいです。
個人的には、顔真卿の知り合いで、酒を飲んで筆を取ったと言われる懐素の「自叙帖」の自由奔放な感じが良かったです。

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顔真卿」展 作品リスト、チケット

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顔真卿」展 図録