研究費の元は?

昨日は、2000年以降に不正データを使った研究論文が増えたという話を書きました。
政府による「聖域なき構造改革」により、大学への交付金が抑制され、優秀な研究でないと研究費を得られなくなった事が要因だと言われています。

もちろん、研究費を得ようと競争する事は悪い事ではありません。
競争に勝とうとして、不正な手段を取る研究者が悪いのです。

もっとも、それまで、簡単に研究費が支払われていた事にも問題があるような気がします。
当然ながら、潤沢な研究費を使って、良い研究をしていた人もいたと思いますが・・・中には、凄い研究目標を掲げていながら、なかなか成果を出さないという人もいたのではないでしょうか?

大学の研究室なんかと比べ物になりませんが・・・若い頃に、企業の研究開発部門にいた事があります。
私が、研究開発部門の一つの部署に入った時に、既にその部署で別のプロジェクトのリーダーを務めていた人がいます。
物凄く頭が良くて優秀な人で・・・採用から研究開発部門に配属されていたようでした。
ところが・・・この人のプロジェクトが、なかなか成果を出さなかったので有名だったのです。

私なんかは、ある程度、普通の部門で働いてから、研究開発部門に配属されたので・・・現場の人がどんなに頑張って利益をあげているのか知っていたため・・・研究開発では、凄くお金を使う事に驚いたのですが・・・彼には、それが理解できていなかったような気がします。
それこそ、現場では、不要な電灯を消したり、近い階ではエレベーターを使わないなどコスト削減していたのですが・・・研究開発部門では、ちょっとしたミスで、膨大なお金が無駄になっていたのです。

もちろん、私も失敗したりしましたが・・・効率を考えて取り組み、なんとか、プロジェクトを二つほど完成させて、研究開発部門を去る事になったのですが・・・その時点で、彼のプロジェクトは、未だ成果を出していなくて・・・経理の人なんかに金食い虫と言われるようになっていました。

ちなみに、その後、噂に聞いたのですが、彼はプロジェクトリーダーを外され・・・違う人がリーダーになったら、そのプロジェクトは上手くいくようになったそうです。

政府による、研究への交付金も、元をただせば国民から搾り取った税金だという事を理解して、研究に取り組んでもらいたいと思います。
それを本当に理解していれば、不正データを使って成果をでっち上げるなんて事は出来ないのではないでしょうか?