戦争番組に感じた事

昨日は、日曜日のNHKスペシャル「本土空襲 全記録」について書きました。
断片的な記録しかなかった日本本土空襲をデータ化し、全体像を数値で表したのですが・・・数値化されてしまうと、悲惨さが実感できなくなってしまったのが残念に感じました。

終戦の日が近いので、戦争を扱った番組が多くなっています。
昨日のNHKスペシャルは「731部隊の真実~エリート医学者と人体実験」で、続いて今日のNHKスペシャルは「樺太地上戦 終戦後7日間の悲劇」でした。

また、昨日は、池上彰の戦争を考えるSP第9弾「特攻とは何だったのか」という番組も放映されました。
余談ですが・・・この番組では、特攻機の飛行場があった鹿児島県の知覧が紹介されていたのですが・・・昔、母が元気なころ、行ってみたいと言っていたので、旅行した事があります。
特攻が行われていた頃、母は女学生だったので、同年代の若者が死んでいったという事は、それなりの想いがあったのではないでしょうか?
展示された物も、印象的でしたが・・・なぜか、飛行場へ行く沿道に灯篭が並べてあったのが印象に残っています。
知覧は城下町の街並みで、趣のある古い武家屋敷が多かったのですが・・・バスを待つ間、お茶をしたのが、しゃれたイギリス風の喫茶店というのが、なんとなくミスマッチで、時代の流れを感じました。

さて、この3つの番組は、データ化というよりは、個々の事例を多く紹介しており、それぞれ悲惨さを実感できるものでした。

優秀なパイロットが減ったための特攻というアイデアや、樺太を死守せよという命令で住民全員を国民義勇兵にしたのは・・・軍上層部で正常な判断ができなくなっていたおかげで、大勢の日本人の犠牲が出たという似た側面があるような印象を受けました。

これに対して、731部隊の人体実験は、中国人捕虜などに対して行った非人道的行為で、日本人が加害者という点が違っています。
やはり、戦争という状況で感覚がおかしくなっていたという事がありますが・・・普通のエリート医学者が主導して行ったというのが怖いところでした。
以前、森村誠一の「悪魔の飽食」を読んでいたので、この部隊の存在は、それほど驚くほどではありませんでしたが・・・ハバロフスク裁判で、残虐行為を淡々と答える被告の声に、思わずぞっとしてしまいました。

やむを得ず特攻に行かなければならなかった若者や、終戦後にソ連と竹槍や毒矢で戦わなければならなかった樺太住民などにも同情しますが・・・自分も、状況によっては、残酷な行為を平気で行ってしまうかもしれないというのは、別の意味で、恐怖を実感させられてしまいました。

なんでも、逃げ遅れた731部隊のエリート医学者は、ソ連の捕虜となりましたが・・・早々と日本本土へ逃げかえった者は、アメリカに実験結果を提供して戦犯の追及を逃れ、戦後の日本医学会の重鎮となったとか。
戦争が無ければ、本来、これらの人は立派な人物だったのでしょう。

戦争というのは、単なる攻撃による犠牲だけでなく・・・正常な判断をできなくさせてしまう人間を多く作り出してしまうという事を忘れさせないようにする番組も大事ですね。