原発の事故処理にかかる費用

昨日のNHKスペシャル廃炉への道2016シリーズの「調査報告 膨らむコスト~誰がどう負担していくか」というタイトルでした。
福島原発廃炉等にかかる費用が、当初の見積もりに比べて、かなり増加しているそうです。

それにしても、東京オリンピックもそうですが・・・当初の見積もりがあてにならないのに驚かされます。
どうも、東電や役人なんかの体質に、最初は甘く低費用で見積もって、承認を貰い易くし・・・計画をスタートさせて、後戻りできないようにさせてしまえば良い、という考えがあるような気がしてしまいます。

そもそも、一般の企業ならば、見積もりと実際のコストに大きな差があったら、甘く見積もった本人の責任が追及されるのですが・・・責任が追及されない体質自体に問題があるような気がします。

番組によれば、コストが増加する要因の一つに、スケジュールの長期化を見込んでいない事があります。
廃炉に携わる作業員の手当は一日で1億円かかるそうです。

また、長期化により、予想しなかった費用が発生しています。
除染を行う農地には、木々が生い茂り、まず伐採しなければなりません。
汚染水を入れたタンクは、メンテナンスに費用がかかります。
廃棄物を詰めた袋は、劣化のため、詰め替えが必要となり、試算では1,750億円だったのが、8倍の1兆円以上になっています。
そして、これらのコストは日々増え続けていて、最終的に幾らになるのか、ハッキリしていないと言います。

この増加したコストを誰が払うのか?という問題もあります。
そもそも原発開発時には、事故の賠償負担については、事業者がすべて責任を負う、という事で法制を整備したそうです。
しかし、この法律には、大規模な天災や内乱の時は、国が負担するという但し書きがついていたそうで・・・今回は、この但し書きに当たると判断されたようです。

今回の原発事故は、純粋な天災か?という疑問はありますが・・・東電1社で責任は負えないのは明らかだし・・・処理を行わずに放置するわけにもいかないのも明らかです。
このため、現在でも13.3兆円に上り、膨らみ続けているコストの7割は、複雑な仕組みを通じて国民に付け替えられているそうです。

番組では、この政策の決定について、国民に説明がなされていない事を問題視していました。
こんな状況で、原発の再稼働を進める国の姿勢には、疑問を感じますね。
リスクを見積もったら、原発は低コストというのは幻想であるという事に未だ気づいていないのでしょうか?

あと、電気料金や税金などに転嫁していると、加害者の東電を助けるために、原発事故の被害者にも支払いを要求している事になり、矛盾を感じます。