パタゴニア

昨日のNHKスペシャルは「「神の領域を走る パタゴニア極限レース141km」というタイトルでした。
世界一過酷なレースと言われるレースを走るランナー達は、レース終盤に神の領域に達するそうです。

それは、おそらく、肉体の苦痛から精神を守るため、脳内麻薬が分泌されるているのでしょう。
ランナーは誰かが自分と一緒に走っているといったような、様々な神秘的感覚にとらわれるそうです。

普通のランニングでも、ランナーズ・ハイと言われるように、同じようなメカニズムで、異様に高揚したハイな気分になることもあります。

また、宗教の修行などでも、苦行を続けると、似たような感覚に陥り、神の領域に近づいたと思うそうですが・・・これも、おそらく、脳内麻薬のせいだと思われます。

ミュージシャンが麻薬でトリップして、素晴らしい音楽が出来るように錯覚するのと同じように、苦行による脳内麻薬によって、神の領域に近づくのは錯覚だと思われます。
お釈迦様が、苦行をしても悟りを開くことはできない、と感じたのも、この事実に気づいたからではないでしょうか?

ところで、このレースの舞台となるパタゴニアと言えば、南米大陸の最南端の不毛の地です。
子供の頃、岩波少年文庫の「死の艦隊」というマゼランの世界一周航海を描いた作品を読んだのですが・・・その中で、大西洋から太平洋へ通じる海峡(マゼラン海峡)を見つけたのが、ここでした。
そこで、マゼラン一行は巨人の住民に出会い、大足人の国という意味のパタゴニアと名付けたそうです。

番組で見るパタゴニアは、不毛の地というよりは、荒涼としてはいますが、雄大大自然の風景が、とても美しかったです。
その中を、限界にチャレンジして黙々と走るランナー達・・・その姿は、神々しく感じられて・・・違った意味からも、神の領域に近づいているような気がしました。