廃炉への道

昨日のNHKスペシャルは「廃炉への道2016 核燃料デブリ 迫られる決断」というタイトルで、福島第1原発廃炉作業の困難さを取り扱ったものでした。
最長40年で廃炉作業を終わらせるためには、作業方法決定の決断を来年までにしなければならないそうです。

ちなみに、核燃料デブリとは、融け出した核燃料が冷えた塊のことだそうです。
高濃度の放射能を発生する核燃料デブリは、配管等に漏れ出して、割れ目や隙間など、さまざまな場所に存在すると考えられています。
また、冷える過程によって、大きな塊になっていたり、砂状になっていたりするようです。

廃炉するには、この核燃料デブリをいかに取り除くかが問題となるのですが・・・人間が近づけないため、ロボットによる作業が検討されています。
しかし、放射線が強すぎるため、電子機器が正常に動かない事態もあるようです。

また、放射線を防ぐのは、米国スリーマイル原発で採用された、原子炉等を水で満たす、いわゆる「冠水工法」が唯一の方法になるのですが・・・福島原発の場合、この方法をとるためには、漏れ出る水を止める必要があります。
これに対しては、風船で配管をふさいだ後、風船の中にコンクリートを流し込んで固めるそうですが、こちらもなかなか上手くいかないようで、試行錯誤が続いているようです。

福島原発では、放射線量が減ってきていて、防護服なしで活動できるエリアが、事故当時の10分の1になったとか・・・一見、順調に進んでいるように見えるのですが、まだまだ困難が続いている事が理解できました。

なんでも、事故から5年で、既に1兆円が費やされたそうですが・・・実は、廃炉作業にやっと手が付くという状況だという事に、愕然とします。
今も、故郷へ戻れない人が9万人・・・原子力発電はコストが安いという迷信から、こんな状況で、再稼働を進めるのは、無理があるような気がします。

のど元過ぎればではありませんが・・・普段の生活で、いつの間にか原発事故の事を忘れがちになっている事に気づかされました。