憲法解釈の懸念

安全保障関連法案の特別委員会での採決が近いという事で、さかんにニュースが流れています。
この問題について、これまでも、何度か書きましたけど、正式に憲法改正の手続きを踏むべきだと考えています。

反対する人でも賛成する人でも、多くの人が法案の集団的自衛権について注目しています。
しかし、私は、理屈が通らない憲法解釈がまかり通ることに懸念を覚えています。
これまで(砂川判決後も)長年にわたって、集団的自衛権は持っているが行使できないいとう解釈だったのに、今までと何か違ったからなのか?何故変える必要があるのか?全く理解できません。

北朝鮮が長距離ミサイルを発射するとか、中国の海洋進出などという、日本を取り巻く状況の中、安全保障に懸念を覚えている人の考えも理解できます。
でも、その考えを透すならば、安易に理屈が通らない憲法解釈に賛成するのではなく、正式に憲法改正の手続きを踏むべきだと思っています。
理屈の通らない憲法解釈の前例を作ってしまえば、他の問題でも、同じ手法を使って憲法解釈の変更が行われ、憲法が骨抜きになってしまいます。

ちなみに、日本を取り巻く状況に関していえば、冷戦時代のソ連とか文化大革命時代の中国なんかの方が、もっと危険な状況だったように思います。

去年の衆議院解散選挙のときに、安倍首相はアベノミクスの審判を仰ぐと言っていましたが、アベノミクスは効果を上げていて、反対する人はほとんどいません・・・多くの人が、何故、今。解散総選挙を行うのか疑問に思いました。
確か、(自民党よりの)産経新聞だったと思うのですが、憲法改正に向けて政権の延長と足固めために、総選挙を行うと書いてあって、なるほど、と思いました。
しかし、野党でも、民主党岡田代表が少し懸念を示しただけで、その点について見抜いていた議員はほとんどいませんでした。

・・・で、同僚が「なんで今、解散総選挙を行うんだろう?」というので、「憲法改正の足固めだろう」と言ったところ、「憲法改正なんて出来る訳ないだろう。」と言っていたのを覚えています。
そして、自民党は圧勝し、憲法改正ではなく、もっと巧妙に憲法解釈変更を行ったのです。
そう、アベノミクスを争点にしたのは、隠れ蓑でした。

今回も、集団的自衛権を隠れ蓑にして、いち内閣の思惑で憲法を骨抜きにできる前例を作ろうしているように思えます。
理屈が通らない憲法解釈の変更ができるようになれば、それは内閣が勝手に憲法改正を行えるのと同じようなものです。

すでに兆候が表れていますが・・・おそらく、基本的人権も変更されて、貧富の差が広がったり、最低限の生活も遅れないような人が増えるでしょう。

また、国民主権もないがしろにされるでしょう。
安倍首相は、よく「内閣総理大臣の私が言うのだから・・・」と言いますが、それは自分が権力者だと言っているのと同じだと思います。
主権は国民にあり、政府は国民のためにあるのはずなのですが・・・どうも国民は馬鹿で駄目だから政府が面倒をみてやる、という風にでも考えているのではないでしょうか?

そんなこと出来る訳ないだろう・・・と言ってられない気がします。

昔、勉強した本です
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「別冊ジュリスト No.130 憲法凡例百選Ⅰ 第三版」 芦部信喜高橋和之編 有斐閣

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「別冊ジュリスト No.131 憲法凡例百選Ⅱ 第三版」 芦部信喜高橋和之編 有斐閣