囚人のジレンマ

ここのところギターの材について書いてきましたが、今日は違う話題です。

ゲーム理論ノーベル賞受賞者ジョン・ナッシュさんが亡くなったそうです。
タクシー事故だったそうで闘病生活を支えた奥さまも一緒に亡くなったとか、御冥福を祈ります。

昔、経済学を勉強していた時に、ゲーム理論って面白いなぁと思っていました。
あまり、理解できませんでしたけど・・・・

ゲーム理論というと、有名な命題の「囚人のジレンマ」を思い浮かべます。
御存知の方も多いと思いますので、簡単に述べますと

共犯の二人の泥棒それぞれに、警察官が司法取引を持ちかけます。
「二人とも黙秘したら両方とも懲役2年だが、もしお前が自白したら釈放してやる。この場合あいつは懲役10年だ。」
「同じ条件はあいつにも伝えてある。もしあいつとお前の両方が自白したなら、両方とも懲役5年だ。」
二人の泥棒は別のところに監禁されているので意思疎通ができないとすると・・・
それぞれが自分の一番利益になる自白を選択してしまう。
というものです。

つまり、相手が黙秘した場合には自分が自白した方が得だし、相手が自白した場合にも自分が自白した方が得になるので、両者とも得になる黙秘は選択されません。

以前から思っていたのですが、この話は警官と泥棒二人の合計三人のプレーヤーによる命題としてもとらえることができるのではないでしょうか?
つまり、先行のプレーヤーが警官で、いかに自分の利益になるように泥棒二人と交渉するか?という命題です。
そして、上述のように条件を持ちかければ、二人から自白という最適の効用を得る事ができるという解になります。
もちろん、この場合は警官が利益を得て、泥棒二人は損をするので、ジレンマにはなりませんね。

あるグループどうしがゲームを争っているように見えて、実はルールを決めた者が効用を得ている。
このような事は、実社会でもよくあるような気がします。

例えば、「囚人のジレンマ」とよく一緒に語られる企業同士による値下げ競争なんかです。
それぞれの企業が争って損をしている見えますが・・・商品価格が下がるので、市民は効用を得ます。
そして、トラストやカルテルを禁止するルールを決めた国も、間接的に市民の支持を得るという効用を得ている、という風に考えられます。

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ゲーム理論+プラス 経済セミナー増刊」 日本評論社