勇気ある人々

昨日はキューバ危機について書きました。
今日は、この事件の一方の主役であるケネディ大統領について書きます。

もう一方の主役のソ連フルシチョフは、ケネディは賢明な大統領だった、と語っています。
ケネディは戦争を始めることもできたし、ソ連よりも優位にあったので、勝つ事ができただろう。
しかし、そうすれば多くのアメリカ市民が死ぬことも理解していた。
カストロは若くて熱しやすい男だから、ミサイルを撤去したら、アメリカが攻めてくると思っていた。
しかし、ケネディがそんな事をはしないのは判っていた。
ケネディのやったことは正しかった。
彼は米ソの緊張緩和の意義を理解していた。

ケネディは、若くて精力的な大統領というイメージがありますが、実は健康に色々問題をかかえていました。
(浅黒い肌も、日焼けではなく、病気による影響だと言われています)
そんな、ケネディ上院議員時代に背骨の大手術を受けて長期の入院生活を送っていた時に書いたのが、「勇気ある人々」です。

この本は、過去の政治家8名の伝記をまとめたものなのですが・・・
有名な政治家ではなく、自分の信念を通した勇気のある行動をした人を書いています。
多くの政治家は、選挙区の代表として選挙民の要望や政党の意向に沿って行動しますが、
再選はおろか議員の地位を投げだしても、国のために自分の信念を優先した人々の事なのです。
つまり、ケネディ自身の政治家として心構えを述べているのです。

有名なケネディの大統領就任演説の
「同胞であるアメリカ市民の皆さん、国があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが国のために何ができるかを考えようではありませんか。」
というフレーズは有名ですが・・・
最初は、今ひとつ、このフレーズがピンとこなかったのですが、このケネディの政治家としての心構えを考えると理解できます。

ちなみに、この演説の続きは、
「また同胞である世界市民の皆さん、アメリカがあなたのために何をしてくれるかではなく、人類の自由のために共に何ができるかを考えようではありませんか。」
と続きます。
キューバ危機の時も、ケネディアメリカの事だけでなく、人類のためを考えていたと思われます。
はたして、日本の政治家で、選挙区とか政党なんかよりも、人類のために行動している人が、どれだけいるのでしょうか?

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「勇気ある人々」 ジョン・F・ケネディ著 宮本喜一訳 英治出版

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フルシチョフ 封印されていた証言」 ジュロルド・シェクター、ヴャチェスラフ・ルチコフ編
福島正巳光訳 草想社