今読んでいる本に、イスラムは一物一価ではないと書かれていました。
例えば、一般の人に売る時と身内に売る場合では価格が違うのが当たり前なのです。
というか、身内の人に一般の人と同じ価格で売ったりしたら、身内を大切にしていないと非難されるらしい・・・
イスラム社会は砂漠の部族等が元になっているので、共同体意識が高いからと言われています。
また、貧者を助けるのも当然なので、貧しい人には安い価格で売るそうです。
もちろん、お金持ちには高く売りつけます。
だから、一物一価が当たり前と考えている旅行者が、ぼったくられたと憤慨することが良くあるそうです。
もっとも、日本や西欧諸国でも、一物一価は建前であって現状は違っています。
例えば、社員割引価格がある企業もあります。
これは、身内の価格が違うのと同じですね。
そういえば、ストックオプションなんていうのもありますね。
学割なんかは、貧しい人に安く売るのと同じですね。
他にも、マイレージとかポイント制なんているのも、お馴染さんやリピーターを優待していることになります。
以前、需要と供給で価格が決まるという、アダムスミスの神の見えざる手について書きましたが・・・
一物一価が成立するのは、完全競争市場であることと言われています。
独占市場とか、買い手が少ない市場なんかは言い値になります。
また、知識が偏った市場、例えばその商品の希少価値を知っている人と、そうでない人が入り混じった市場なんかも完全競争市場ではないのです。
こう考えると、一物一価は幻影で、イスラムのように一物多価と割り切っていた方が、人間味があって良さそうな気がします。