国立近代美術館で開催されている「TRIO展」を観に行ってきました。
TRIO展はパリ市近代美術館と大阪中之島美術館と国立近代美術館という近代美術を扱う3館のコレクションを集めて展示する展覧会です。
3館のコレクションを集めてといっても、選りすぐりの作品だけで、思ったより展示作品は少なかったです。
さらに、その半数は観たことがある作品だったので、見ごたえとしては、ちょっと物足りない感じがしました。
そのせいか、会場もそれほど混んでいませんでした。
もっとも、個人的には好きなジャンルの作品が多かったので、何度観ても良いものは良いという感じかな・・・じっくり観れました。
異なった美術館のコレクションで、同じジャンルで似たモチーフの物を並べて展示してあるのも興味深かったです。
例えばユトリロの街中の風景画の中の歩く男性の後ろ姿と松本竣介の街中の風景画の中の歩く男の後ろ姿が凄く似ていて・・・男がパリから東京まで歩いてきたような感じがしました。
もっとも、藤田嗣治の初期に描かれた目の大きい少女画は後年の少女画の特徴が無く・・・後半に展示したあった奈良美智の少女画と並べたら面白かったかもしれません。
そういえば、個人的に好きなシュールレアリスムのジャンルで・・・今回もキリコの絵が展示されていましたが・・・先日、デ・キリコ展を観た時に、夢の世界のような印象を与えるためか、あっさりした塗り方だと書きました。
で、前にも見たことがあるマグリットの「レディ・メイドの花束」という作品・・・マグリットのお気に入り登場人物(山高帽の男性)の背中にボッティチェッリの「プリ・マヴェーラ」の女性が描かれた物で・・・背景の木立や山高帽の男性はあっさり描かれているのに、「プリ・マヴェーラ」の女性はボッティチェッリのように細かく描かれていて・・・今までマグリットってそんなに絵が上手いと思った事がなかったのですが、キリコ同様に非現実感を出すため、あっさり描いていた事が判りました。
ちなみに、今回の展覧会で一番印象に残ったのは草間彌生の作品「No.H.Red」・・・それほど特徴が無くて、他の草間彌生作品と大して違わないのですが・・・なんとなく強烈なエネルギーを感じました。
あと、昔のパリ、東京、大阪のスナップショット写真は、意外と面白かったです。