優生思想

昨日のNHKスペシャルは「調査報告 障害者殺傷事件 19人の命はなぜ奪われたのか」という番組でした。
理解しがたい事件だったため、植松容疑者が友人等に勝った言葉などから、事件の真相に迫ろうというものでした。

確かに、明るく真っ直ぐな性格で、将来の希望は、父親と同じ小学校教諭だったという容疑者が、何故、変わってしまったのか?について、今後の原因追及が必要だと思われます。
また、措置入院が医療を目的として、犯罪抑止を目的としていないというような、現在の制度的な問題も改善が必要と思われます。

それよりも、自分が優れているという意識で、障害者を差別するような考え方が気になります。
初めて、この事件のニュースを聞いたときに、こんな事をする容疑者の方が社会不適格者だから抹殺されるべきだ・・・なんて、つい思ってしまいました。

植松容疑者は「ヒットラーの思想が舞い降りてきた」と言ったそうですが・・・このような優生思想を持つというのは、頭が悪いのではないか?と思います。
頭の悪い人は不要だから、知能指数100以下の人は、抹殺すべきです・・・なんて考えたりして・・・もちろん、間違っていますよね。

知能指数というのは100を標準とする偏差だから、低い人を半分抹殺したら、今度は、残りの人の半分が100以下になります。
それを抹殺したら、さらに残りの半分が100以下に・・・最期に二人が残ったら、一人が100以下です。

以前も書きましたけど、知能指数が高くても、悪事ばかりする人もいます。
また、知能指数が低くても賢く生きている人もいます。
だから。知能指数だけでは、人の価値なんて決まらないのです。

実は・・・昨日の朝、教育テレビで、ティク・ナット・ハンの番組をやっていました。
その中で、ティク・ナット・ハンが蓮の茎を例にして、左翼とか右翼について説明していて・・・これが、ちょっと似た話でした。

茎の右側を右翼、左側を左翼と思ってください・・・右翼の人が左翼の人を抹殺したとします・・・といって、茎を半分に切り落とします。
残った茎には、また左側と右側があるように、残った右翼の人の中にも、穏健派もいれば過激派もいて・・・やがて、過激派は穏健派を抹殺しようと考えるようになるのです。
(もちろん、このように茎を半分に切り続けていけば、最後には茎と言えないものになってしまいます)
だから、相互共存するようにしなければいけない・・・と、語っていました。

天気は、晴れの日だけでなく、曇りの日も、雨の日も、雪の日もあるから良いのです。
季節は、春だけでなく、夏や秋や冬があるから良いのです。
また、人生は、楽しい日もあれば辛い日もあるから、面白いのです。
そして、世の中には、色々な人がいるから、面白いのです。