セブン・イヤーズ・イン・チベット

少し風邪気味なので、今日は家で大人しくしていました。
先日、ダライ・ラマの事を書いたので、ふと思い立って「セブン・イヤーズ・イン・チベット」のDVDを引っ張り出してきて視てみました。

ご存知だと思いますが、ブラッド・ピット主演の、オーストリアの登山家であるハインリッヒ・ハラーの自伝的映画です。

ハインリッヒ・ハラーはアイガー北壁の登頂に初めて成功した登山家でしたが・・・当時、オーストリアはドイツに併合されていたため、ヒマラヤにあるナンガ・パルバット山へのドイツ遠征隊に参加する事になります。
ところが、第二次世界大戦が勃発したため、英国の植民地インドで敵国人として収容されてしまいます。
しかし、ハインリッヒ・ハラーは脱走してチベットに逃げます。
そして、チベットの首都ラサにたどり着き、まだ幼かったダライ・ラマ14世に欧米の文化を教える役目を受けますが・・・中国によるチベット侵攻により、別れを告げ帰国の途に就きます

映画は、ハインリッヒ・ハラーと幼いダライ・ラマとの交流を中心に描かれていますが・・・原作では、二人が出会うのは3分の2位ストーリーが進んでからになり、チベットの7年という題名のとおり、どちらかというとチベットでの生活がメインに書かれています。

これは、内容が内容だけに、中国政府によりチベット自治区での撮影が許されなかったので、映画の大半はアルゼンチンで撮影せざるを得なかったため、チベットでの生活をメインに描くのが難しかったからだと思います。
しかし、ハインリッヒ・ハラーと幼いダライ・ラマの交流をメインにしたため、むしろドラマチックで心温まる映画となっています。

チベットという独立国の末期に、指導者ダライ・ラマを教えたという点から、清朝の最後にラストエンペラー溥儀の家庭教師だったR.F.ジョンストンが書いた「紫禁城の黄昏」を連想しますが・・・セブン・イヤーズ・イン・チベットでは、教える側のハインリッヒ・ハラーが人間的に未熟なのに対して、幼いダライ・ラマの方が人間が出来ている点がユニークです。

そういえば、現在の中国政府にしてみれば、「セブン・イヤーズ・イン・チベット」も「紫禁城の黄昏」も、都合の悪い内容かもしれませんね。

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セブン・イヤーズ・イン・チベット」 角川ヘラルド・ピクチャーズ

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セブン・イヤーズ・イン・チベット チベットでの七年」 ハインリッヒ・ハラー著 福田宏年訳 角川文庫

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紫禁城の黄昏」 R.F.ジョンストン著 入江曜子・春名徹訳 岩波文庫